バラの分類の上で重要なのは樹形による分類です。樹形は大きく分けて全部で三種類あります。木立ち性、半つる性、つる性です。下の図は、バラの樹形による分類を表しています。
木立性と半つる性は、それぞれブッシュおよびシュラブとも呼びます。つる性はクライミングと言うこともあり、略記として”CL”と表記することもあります。
図 樹形によるバラの分類
世の中、完全な分類というのはなくて、バラの種類によってはブッシュとシュラブの間であったり、限りなくつるに近いブッシュであることもしばしばあります。しかしこの分類を意識することは、バラを育てる上で非常に役に立ちます。
木立性とは名前の通り、木のように自立している性質を表します。樹木のようによほどのことがなければ、倒れることはないです。対照的なのはつる性です。この樹形のバラは比較的扱いやすいバラであります。
木立性バラのデスデモーナです。デスデモーナは四季咲き性で 薄いピンク色の花を咲かせます。
ベビーロマンティカです。木立ち性のバラです。 もともとは切り花品種でしたが、切り花品種の中では比較的丈夫なので普通のバラ苗として販売されました。樹勢が弱いので剪定は軽くとどめた方が無難です。
ブッシュは四季咲き性のバラに多いです。それではなぜでしょうか。四季咲きというのは、花をずっと咲かせます。なので、枝を伸ばすのに使える時間やエネルギーが限られます。少しずつ枝を伸ばしては咲かせ、またちょっとずつ伸ばしては花をつけて、といった繰り返しをします。
したがって四季咲きのバラは、一季咲きのバラに比べて、枝が伸びにくいのです。その結果、ブッシュ型になります。だからといって、剪定をしなくてもいいかと言うとそうではありません。木立ちとはいえ、だんだん背は高くなります。そのまま無視すると、枝が伸びすぎて収支のつかない状態になります。したがって時には切り戻すことも栽培上は必要です。
つる性は、つるを伸ばす性質を表します。そのようなバラをつるバラと呼びます。一季咲きのバラは、つる性とシュラブが多いです。なぜかは四季咲きのバラを比較すれば、見当はつきます。一季咲きのバラは一年に一回しか咲きません。残りの時間は枝を伸ばすのに使えるのです。したがって夏以降は、枝を伸ばすことに専念できます。そのためつるのようなバラになるのです。
返り咲きはどうでしょうか?返り咲きのクライミングローズもありますが、一季咲きほどは長く枝を伸ばさない傾向があります。そのため、つるを誘引するのが一季咲きのバラに比べてやりにくい恐れがあります。繰り返し咲きであるとなおさらです。なぜならば頻繁に花を咲かせるので、枝を伸ばす時間があまりないからです。木立ちほどではないが、枝は固くなります。繰り返し咲きであるなら、形がシュラブに近いので、思い切って木立ち状に仕立て上げる手もあります。好例がアンジェラです。
アンジェラは繰り返し咲きのバラです。作られた国であるドイツでは木立ち 扱いになっていますが、気温が高い日本では枝がよく伸びてつるバラ扱いに なっているのです。このようにつるバラかブッシュかは、地域によって 扱いが異なる好例です。函館ならどうでしょうか?けっこう木立ち扱い するのは難しくないです。
ではクライミングローズに、四季咲きのバラはあるかと言うとかなり考えにくいです。なぜかは、今までの文章を読めば概ね見当はつくはずです。四季咲き性とつる性は相容れにくいのです。四季咲きに近いつるバラもあります。
つるバラは、ある程度慣れないと扱いにくいです。なぜなら壁やトレリス、オベリスクみたいにつるを引っ掛ける(誘引する)要素がないと、扱いづらくなるからです。あまり私はやったことがないので、そんなに扱えないかもしれないです。
木立性とつる性の中間です。自立はある程度するけど、枝の伸びが木立ちよりは大きいです。このバラは、四季咲き性のバラにもあるし、一季咲きのバラにもあります。横張りと呼ぶこともあります。同じシュラブでも、品種によって樹形のイメージが異なることがしばしばあります。厄介な点は地域によっても、育ち方が変わる可能性があることです。